趣味

プロフィール欄に必ずとある趣味という欄。いつも僕はここに、読書やアニメ鑑賞や自分のちんぽを舐める為のストレッチ等当たり障りのないことを書いて済ますのだが、これを読んでくれている読者は何か趣味はあるだろうか。まあ、これを読んでいるような人はどうせ浪人生が大半なので、本屋で参考書漁りやパチンコや酒やタバコといったクズを体現したような趣味を持っている人が殆どであろう。そんな人らとは相まって僕の本当の趣味といえば、剥製標本のような成金趣味なんかよりも遥かに高尚である。

 

ずばりそれは

 

「毛を抜く事」

 

である

 

は?と思う人も居るかもしれない。如何せん、僕の趣味のレベルはハイレベル過ぎるため、酒タバコパチンコなんかを趣味とする底辺からすれば雲の上の趣味だろう。だから、僕はそんな君らに完全に理解して貰えるなんて、かけらも思っていない。理解出来ないなら「残念だったな」と一言告げるだけだ。

さて、毛を抜く事と言うが具体的にどこの毛を抜くかという話だが、僕の場合は乳首毛、髭、スネ毛の3つである。同じ趣味を持っている人は、おいおい鼻毛と陰毛はどうしたなんて言ってくるだろう。確かにそうだ。このラインナップを見て鼻毛と陰毛が無いのは些か不自然かもしれない。しかし、これは僕なりの理由がある。まず鼻毛は単純で僕は鼻毛がそんなに多くないのが大きい。だから、真剣な話をしている時に鼻毛が出てるせいで台無しになったという経験も泣くふりをする為に鼻毛を抜いてみたなんてことも事もない。その分確かに、鼻をかんだ時に抜ける立派な鼻毛はへその緒と共に保存したい気分になる為、鼻毛を抜く趣味に理解が無いわけではない。そしてもう一つは陰毛であるが、これは正直趣味と言うに等しいのかという疑念があるというのが問題である。男なら当然陰毛を抜く事はよくあるだろうし、女性も自分のまんげを抜いて料理の隠し味にしたり、素麺にしたり素揚げして食べたりすると思うので、陰毛を抜くという行為は謂わば日常生活の一部である。毎日、トイレに行くからと言って人はトイレを趣味であると言うであろうか。答えは否である。実業家の小山吾郎氏が

「趣味とは人生の逃げ場である」なんて言っていたが、正にその通りで陰毛を抜くというのは日常の一部であり人生において逃場となり得ないのだ。だから、僕は毛を抜く趣味に陰毛は入れなかった。ご理解頂けただろうか。

また、他にも毛といえば髪の毛や眉毛など毛は色々あるが、これらは単純にハゲたりヤンキーになるのが嫌なだけで嫌いなわけではない。

 

さて本題といこうか。この毛抜き趣味を少しでも理解していただく為に僕はその趣を語っていこうと思う。

 

まず男なら誰でも抜いたことはあるだろうスネ毛から語っていきたい。スネ毛というと定番なのがガムテープをスネに貼る罰ゲームで、他にもスポーツをやっている人なら足にテーピングを貼り剥がす時にスネ毛が沢山抜けて痛かったなんて経験はあるのではないだろうか。

そんな経験をした人からは、スネ毛を抜くなんて頭おかしいのではないかという批判をを浴びそうではあるが、まずは僕の話を聞いて欲しい。僕もガムテープやテーピングの時にスネ毛が抜けるのは好きでない。なら、どんなスネ毛の抜き方が好きかと言えば、男でスネ毛が濃い目の人はやった事があるかもしれないが、まず掌を使いスネをグリグリと時計回りでも反時計回りでも好きな方向に回すと毛玉が複数出来る。この毛玉を思いっきり抜くのである。毛玉をそのまま抜く為、当然1度にスネ毛は10本くらい抜ける。痛くないのかと聞かれればちょっと痛い。しかし、毛玉となったスネ毛を一気に抜いて机に乗せると、机の上に蚊が止まってるように見える光景は、ヴァトナヨークトル氷河よりも遥かに美しい。そして、丁度スネ毛を抜いた部分がハゲ山のように浮かび上がるのもまた趣がある。また、ここでは1度に多くの毛が抜けるというのがスネ毛の特徴だ。スネ毛以外で1度に多くの毛を抜けるものは髪の毛と陰毛くらいだが、髪の毛なんてまとめて抜こうものならその部分だけ10円ハゲが出来てしまい、そんな10円ハゲが頭の至る所に出来てしまうと髪型が水玉模様になってしまうかもしれない。流石に、女の子も髪の毛が水玉模様の男は嫌であろう。それくらいはヤラハタの僕でもわかるってものである。陰毛はさっき言った通りトイレ行くくらいの日常的なものなので、あまり趣というものは無いと思う。

スネ毛抜きは男の特権だと思う。毛玉を作るにはある程度毛の長さが必要であり、女性のように無駄毛処理を定期的に行っている人は毛玉を作ってスネ毛を抜く事は出来ないであろう。女性も大変だなと思い、僕は今日も毛玉を作り抜き続ける。スネ毛を抜く瞬間は僕が男に生まれて良かったと思う瞬間の1つだ。因みに、僕が男に生まれてよかったと思う瞬間を他にも挙げるなら、『継母の連れ子が元カノだった』でブヒれる瞬間だろうか。てことで、紹介しておく。

 

継母の連れ子が元カノだった 昔の恋が終わってくれない (角川スニーカー文庫) https://www.amazon.co.jp/dp/4041076846/ref=cm_sw_r_cp_api_i_ByF5DbDKQV83D

 

 

さて、残りは髭と乳首毛だがこの2つはスネ毛とは違い1本抜く事に趣がある。

 

まず髭だが、僕は遺伝的なものなのか髭は薄い方で顎髭が生える事は中々無かった。初めて生えたのは高校2年生か3年生の頃だったと思う。特に意味もなく顎を触っていたら、ある違和感に気付いた。ニキビでも出来たのかなと思いずっと触っていると、どうも出来物っぽくなく、暫く触っていてそれが髭である事に気付いた。人生で初めて生えた髭だったので僕は舞い上がり、いち早く人生1本目の髭を拝みたいと思い、鏡もその場には無かったので指を使って抜こうと試みた。しかし、髭は短いので絵本の『大きなかぶ』の如く中々抜けてくれなかった。何度も髭を見失いながら、漸く髭が抜けた時の快感は今でも鮮明に覚えている。僕はあの日をもう一つの誕生日としているくらいだ。それ以来僕は髭を抜く快感が虜になり、髭が生えるたびに時間を掛けて抜いていた。毛抜きで抜くとすぐ抜けるのだが、やはり何度も空振りしてやっと抜く快感には到底及ばない。だから、僕は毛抜きは使わないようにしている。しかし、テスト中なんかに新たな髭を見つけてしまうと地獄である。全く集中出来ない。ただでさえ試験時間との闘いであるのに、髭を抜く事に気を取られていては最早テストどころではない。この趣味に興じるならば、テスト前日は髭を剃る事を忘れないでいただきたい。

 

そして、真打登場乳首毛である。

乳首は男の第2の性感帯と言われる為、スネ毛なんかよりも乳首毛はずっと痛いのではないかという疑問があると思う。ところがどっこい、意外な事に太めの乳首毛は痛くないのである。逆に細めの乳首毛は少し痛いので気をつけて欲しい。乳首毛が生えるのは髭よりも早かったと記憶している。恐らく初めては高校1年生で風呂の中で乳首に太い毛が生えている事に気付いた。何となく1本だけ生えているのも気持ち悪かったので抜く事にした。乳首毛は髭とは違って毛の生えている部分がちゃんと見えている為、抜くのは容易かった。しかし、僕は乳首毛を抜いた瞬間目を疑った。なんと、自分の抜いた乳首毛はそれを抜く前に見えていた毛の長さより、遥かに長く2倍以上の長さを誇っていたのである。それを見た瞬間身体中に電流が走り、筆舌に尽くし難い感動が一気に押し寄せてきた。それ以来、乳首毛を抜く事はやめられなくなった。定期テストの時1番前の席で受けていたのだが、テスト中に乳首毛を抜いていると女の先生に「何乳首触ってんの?」なんて言われ、恥ずかしい思いをした事もあった。それでも僕はやめられなかった。乳首毛を抜くたびに、思ったより長いその毛をうっとりとしながら眺めるのは何とも趣深い。

 

毛を抜くと毛が濃くなるという話があるが、強ち間違いではないと思う。事実、最近乳首毛というか胸毛が沢山生えてきた。この前、上半身裸でリビングを歩いていると母親に「胸毛生えてるやん。パパも生えてたし遺伝するんやな。」と言われ離婚した父親とSEXをして自分が産まれてきた事を暗に示され吐き気を催した。なら、髪の毛を抜けばハゲの対策になるかと言われるとそうでも無いっぽい。僕と同様に毛抜き癖がある同級生で髪の毛をよく抜いてた奴は若干ハゲていた。人間の身体とは実に都合の悪いものである。

 

まあ、そういうわけで僕の趣味である毛の抜く事を長々と語ったわけだが、如何だっただろうか。少しは僕の趣味を理解していただけただろうか。男なら特に今日から乳首毛と髭とスネ毛を是非とも抜いてみてほしい。毛抜きは金のかからない趣味である。辛い時悲しい時死にたいと思った時はこれをモチベに生きていくといい。次はどんな美しい毛が生えてくるだろうかと日々楽しみにして生きていく事で、モノトーンである人生にも彩りが生まれる。そんな彩りある日々を生き、読者が死ぬ時に自分が今まで抜いてきた乳首毛と髭とスネ毛を思い浮かべ、良い人生であったと笑顔で死ねる事を僕は心から願っている。